アメリカの医療費が高い理由は?実例も含めたホントのトコロをご紹介

アメリカの医療費が高いのは、日本でもよく聞かれることだと思います。

治療費が払えないから医者にかかれない!
難病にかかり、医療費が払えずに自己破産!

国民皆保険のある日本では考えられないことですが、これ、普通にあることです。

しかも、ちゃんと保険に入っている人でも場合によってあり得るのがアメリカです。

うーん、恐ろしい^^;

この記事では、

  • アメリカの医療費が高い6つの理由
  • 病院の利用率と保険加入率の低さ
  • 私の実体験から高額医療費の実例

をご紹介いたします!

目次

なぜアメリカの医療費は高いのか?

アメリカは医療費が高いことで有名です。

後で私の医療費の実例もご紹介しますが、きっと驚かれると思います。

アメリカは、2016年、GDPの17.8%を医療費に費やしました。

一方、米国医師会によると、11の高所得国とされる11の国(カナダ、ドイツ、オーストラリア、イギリス、日本、スウェーデン、フランス、オランダ、スイス、デンマーク、アメリカ)の平均支出は、 わずか11.5%でした。

金額にすると、アメリカは、国民一人につき9,403ドルを費やしている計算です。
これは他の国の約2倍です。

世界保健機関は、医療システムのランキングで、アメリカを37位にランク付けしました。
アメリカの私立財団であるコモンウェルス基金も、先進国の上位11国でアメリカを最下位にしました。

なぜアメリカは、医療費を多額に払っているのに、こんなに評価が低いのでしょう?

アメリカがリーズナブルな価格で適切な医療を提供できない、6つの主な理由を見てみます。

医療費が高い6つの理由

次の6つが考えられる理由です。

  1. 管理費が高い
  2. 薬剤費が高い
  3. 保身的医療
  4. 高額な治療を受けている
  5. 賃金が高い
  6. ブランド化の影響

1つずつ見ていきましょう。

1.管理費が高い

ハーバード大学の経営学者によると、医療費が異常に高い理由の1つは、医療を施すための管理費が恐ろしく高いためです。

医療費の約4分の1が管理費に当てられていて、他のどの国よりもはるかに高くなっています。

例えば、デューク大学病院には、1,300人の会計係がいます。
でもベッド数は900床しかありません。

この病院では、たくさんの保険会社のさまざまな要件を満たす請求方法を決めるため、会計のスペシャリスト達がこれだけ必要なのです。

会計係り

アメリカの保険制度が複雑なことが、管理費に影響しています。

日本のような保険制度であれば、医療費を管理するために、こんなにたくさんの人員は必要ありません。

アメリカの管理費は、国民総医療費の8%を占めています。
他の国では、1%から3%です。

2.薬剤費が高い

アメリカと他の先進国との大きな違いの1つが、薬剤のコストです。

11国すべての平均医薬品支出は、一人当たり749ドルです。
アメリカでは、1人あたり1,443ドルです。

ほとんどの国の政府は、医薬品メーカーと薬価を交渉します。

一方、アメリカの議会は、メディケア・パートDと呼ばれる処方箋薬剤給付保険を立ち上げました。

これは、薬価を交渉する権利をメディケア*から奪うものでした。

本来なら、メディケアは薬剤の価格を交渉し、できるだけ安い価格にすることができました。

連邦予算局は、メディケア・パートDがもし施行されていなかったら、10年間で1,160億ドルを節約できたと言っています。

*メディケアとは
65歳以上の高齢者と障害者向けの公的医療制度です。
連邦政府が管理している、社会保障プログラムです。

3.保身的医療

アメリカの医療費が高い大きな要因の1つは、保身的医療です。

訴訟社会のアメリカでは、医師は訴えられることを恐れています。

そのため、診断内容に確信がある時でも、必要以上に検査を行います。

世論調査を行うギャラップの調査では、2010年、年間6,500億ドルが保身的医療に費やされていました。

4.高額な治療を受けている

アメリカの医師は、より高額な治療を使用する傾向があります。

そして、たくさんの人が専門医の治療を受けています。

他国では、同じ治療がかかりつけ医で行われています。

かかりつけ医よりも、専門医の治療費は高く、患者のコストを押し上げています。

専門医

5.賃金が高い

賃金も医療費が高くなる原因です。

専門医、看護師、かかりつけ医も、他国に比べてかなり多くの収入を得ています。

2016年に、アメリカの一般医師は平均で218,173ドルを稼いでいますが、これはスウェーデンの86,607ドル、ドイツの154,126ドルなど、他国の医師達の平均の2倍でした。

アメリカの高賃金は、医師になるためには、教育とトレーニングに投資しなければならないため、その時間と高額な教育費を反映している可能性があります。

しかし、この投資を考慮に入れても、他国との差額は大き過ぎます。

医師への支払い改革に関する国家委員会は、この問題を解決するため、12の推奨事項を決めました。

委員会は議会と協力して、これら推奨事項のいくつかを実施する方法を見つけましたが、具体的な政策の結果はまだ出ていません。

6.ブランド化の影響

健康維持機構(HMO)の元会長によれば、医療費には、正当な価格というものがありません

高い価格を要求できる医療機関は、誰もが望むブランド化された病院です。

一流の医療機関が、価格を決めることができるのです。

オバマケアは、ブランド化によって生じる価格の高騰を抑えようとしました。

例えば、フロリダ中部では、フロリダ病院がトップブランドの1つです。

2018年、健康保険会社ヒューマナが提供するオバマケアは、フロリダ病院をネットワークから外しました。

他のエリアでも、同様の契約で、トップの病院を外しました。

しかし、これにより、ブランド化した病院が、患者を取り戻すために価格を引き下げるかどうかは、まだ分かっていません。

オバマケアについてもっと詳しく↓

病院の利用率は低く、保険加入率も低い

医療費の支出が高いのは、アメリカの高い利用率が原因だ、と言った研究者がいました。

しかし、治療や手術など、さまざまな処置を確認したところ、他国の平均と比較して、アメリカ人は医者に行く頻度が少なく、入院後に病院で過ごす日数も少ないことがわかりました。

MAKI

私は卵巣嚢腫の手術をアメリカでしました。
日本だと1週間ほど入院するそうですが、私は日帰りでした!

余裕が無く、医者に行けなかったと答えたアメリカ人は、人口の22%です。

一方、高所得国とされる11の国(カナダ、ドイツ、オーストラリア、イギリス、日本、スウェーデン、フランス、オランダ、スイス、デンマーク、アメリカ)すべての平均は、11%と半分でした。

アメリカの保険加入率も最低でした。
2016年には人口の約10%が健康保険に加入していませんでした。

調査した他の国では、ほぼ全員が保険に加入していました。

医療保険制度改革が可決されて以来、健康保険に加入している人口の割合は増加しています。

それでも、かなりの割合の人が保険に加入していないままで、これらの人々の補償の増加は、政府が解決すべき優先事項です。

参考:Here’s the real reason health care costs so much more in the US
6 Reasons Healthcare Is So Expensive in the U.S.

それでは、どれだけアメリカの治療費が高いか、実例をご紹介します。

アメリカの高額医療費の実例

アメリカの医療費はこんなに高い!という実例です。

  1. 血液検査
  2. 大腸内視鏡検査と胃カメラ検査
  3. 救急車
  4. ER(緊急救命室)
  5. MRI
  6. 健康診断

順番に見ていきます。

血液検査

日本で会社勤めをしていた頃は年に1回、無料で健康診断がありました。
当然、アメリカでもあると思っていたら、そんなものはありませんでした。

でも女性の私は、婦人科検診は毎年、保険で無料で受けることができます。
英語ではパップスメアと呼ばれるもので、子宮頸がん検診です。

そして10年ほど前から、血液検査も一緒にしてくれるようになりました。

内容は、血糖値や尿酸、鉄、蛋白質、コレステロール値といった基本的なもので、異常があると連絡があり、適宜、指導や薬が提供されます。

もう、血液検査=唯一の健康診断という感じです。

さて、血液検査をしたラボから、請求書が届きました。

明細を見ると、請求額は

688ドル=約7万6000円

調整と保険の支払いが665.02ドル

私への支払い請求は

22.98ドル=約2600円

保険が無かったら、血液検査だけで7万6千円!
高すぎですよね。

次はもっと高くなりそうな検査です。
大腸内視鏡検査と胃カメラ検査をした時のお話です。

大腸内視鏡検査と胃カメラ検査

アメリカでは、50歳を過ぎると大腸内視鏡検査を受けることが推奨されています。
私も婦人科検診で勧められました。

繰り返しになりますが、アメリカには健康診断・人間ドックというものはありません。
それぞれの専門医を自分で予約、説明を受けて、検査日を予約という形を取ります。

まずは紹介してもらった専門医と問診です。

  1. 便秘してないか?
  2. 血便などはないか?
  3. 急に体重が減ったりしてないか?

などなど。

胃がキュッと痛んだりするんですよね、という話をしたら、
では、ついでだから、胃カメラもしましょうか?となりました。

ちなみにこの日かかった問診費用は、コーペイの、

40ドル=約4500円

でした。
結構、良い値段ですよね?

コーペイとは?

コーペイ(Copay)は診察ごとに必要な自己負担額で、保険契約のプランにより金額が変わります。

我が家の場合、渡米時(2000年)は10ドルでしたが、10年くらい前に20ドルになり、あっという間に40ドルになりました。
すっごく高くなったという印象です。

では、保険契約を変えれば?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、保険契約を提供しているのは夫が勤めている会社なので、簡単にはいきません。

今まで良いと思っていた保険会社のプランでも、会社がこれは嫌だと思えば提供停止もあります。
(保険会社の支払い、保険料の何割かは、会社が負担してくれています。)

医師によっては、使える保険が決まっているところもあるので、保険の変更によって、もう保険が使えないから通えない!なんてことも実際に2回ありました。
とっても良い先生だったんですけど…自腹ではとても無理ですから。

さて、検査当日です。

病院から先払いで求められた料金は、

1,000ドル=約11万1000円

これはディダクタブルです。
もうこれ以上は、かからないはず。

ディダクタブルとは?

ディダクタブル(Deductible)は免責金額で、保険契約のプランにより金額が変わります。

保険会社は、すぐに医療費の支払いをしてくれません。
まずは、保険の契約者が、契約の面責金額までを自腹で、医者にかかった際に支払います。

面責金額まで支払うと、ようやく保険が効いて、支払い開始です。

これは、年度が変わるとリセットされます。

我が家の場合、1000ドルがディダクタブルの金額なので、この金額までは自腹、これ以上になると保険適用です。

ちなみに両検査とも全身麻酔で行うので、検査自体はあっという間に終わりました。

私は胃カメラの時、ピロリ菌検査も一緒にしたと後で聞きました。

そして数日後に病院から届いた請求書は!両検査合わせて、

4,982ドル=約56万8000円

でも保険で支払われて、私の負担はゼロでした。

そうそう、大腸内視鏡検査といえば、下剤を大量に飲みますが、その料金はほぼ無料でした。

これは私の保険のプランのおかげかもしれませんが、薬代はいつも無料です。
なのでここは割愛させていただきます。

日本で同じような検査を受けると、こんな感じらしいです。

大腸内視鏡検査:
初再診料・前処置薬剤・採血:2,500円~4,000円
大腸内視鏡(検査のみ):約5,000円

胃カメラ検査:
診察料・血液検査:約2,000円~3,500円
胃カメラ(検査のみ):約4,000円
ピロリ菌検査:約700円

はー…激安ですね。

救急車

夜中の突然の痛みで、絶対に乗りたくなかった救急車に乗ってしまいました。

施した治療は、痛み止めのための点滴くらいで、後は病院への搬送です。

ちなみに、腎臓結石でした。

後から届いた請求書は、

3,390.79ドル=約37万3000円

高っ、日本では救急車は無料なのに〜。

実際の支払いは、コレ、保険会社と揉めまして。

1,400ドル=約14万9000円

くらいでした。

MAKI

後から追加請求が来たり、もう大変でした。

もっと詳しくは↓

救急車で運ばれた先は、ERでした。

ER(緊急救命室)

ERでは、点滴と尿検査くらいで、大した治療はしませんでした。

夜中に入り、朝方には病院を出ました。

しばらくして届いた請求書の金額は、

1,406.26ドル=約15万円

ただちょっとこれは例外で、実はERがネットワーク外だったのです。

ネットワーク外とは?

保険会社によって、受診できる病院が決まっています。

保険会社が契約している病院・医者以外で受診すると、保険適応になりません。

これをネットワーク外といいます。

しかし、保険会社がERと値切りの交渉をしてくれて、私の支払いは、

660.37ドル=約7万円

で済みました。

MAKI

安く済んで良かったな〜。

え、感覚、麻痺してます?^^;

もっと詳しくは↓

その後、高そうな検査、MRIを受けました。

MRI

MRIは高いので、先に保険会社の承認が必要です。

OKが出て、ようやく検査の予約ができます。

そして電話予約の際、カードで支払いを求められた金額は、

2,045ドル=約22万5000円

MAKI

ゲホッ。(吐血)

ちなみに日本では、

単純MRI検査:2,600~7,800円
造影MRI検査:3,500〜12,600円

くらいだそうです。

飛行機代かかっても、日本で受けた方が安上がりかも…?

もっと詳しくは↓

最後に、自腹の健康診断のお話です。

健康診断

アメリカには健康診断が無い、と書きましたが、主に駐在員向けの日本人医師がいる日系の病院では健康診断を行なっています。

ただし、アメリカでの医療行為の観点からすると、医療上必要と認められないため、ほとんどが保険対象外となってしまい、やはり高額な印象です。

最後にこちらも参考に載せておきます。

まずは日本での費用の目安です。

一般定期健診:9,000~10,000円
日帰り人間ドック:35,000〜50,000円

日本でも自腹だとそれなりにしますね^^;

では、アメリカだと?

バリウム検査のないもので、

855ドル=約9万6000円

バリウム検査があるものだと、

1,135ドル=約12万8000円

でした。

あ〜、やっぱり、ちょっと気軽には受けられない感じですよね。

まとめ

アメリカの医療費が高い理由は?実例も含めたホントのトコロをご紹介、いかがでしたでしょうか。

  • 医療費が高い6つの理由
    • 管理費が高い
    • 薬剤費が高い
    • 保身的医療
    • 高額な治療を受けている
    • 賃金が高い
    • ブランド化の影響
  • 実例6つ
    • 血液検査
    • 大腸内視鏡検査と胃カメラ検査
    • 救急車
    • ER(緊急救命室)
    • MRI
    • 健康診断

あと、保険会社のプランについても少しお話しさせていただきました。

日本とはシステムがかなり違うので、ちょっとややこしいですよね。

私も一生懸命勉強しましたが、未だに「?」なところも多いです。

ただ1つ絶対言えるのは、日本の保険は素晴らしい!ということです^^

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